TECHSCORE BLOG

クラウドCRMを提供するシナジーマーケティングのエンジニアブログです。

CTOになってはじめての1年を振り返る

この記事は CTOA Advent Calendar の11日目の記事です。

2020年1月に シナジーマーケティング のCTOに就任し、1年が経とうとしています。本当はCTOA(CTO 協会)Advent Calendar のさまざまな記事にあるような、組織論や技術論を知的にかっこよく語りたかったのですが、書き下ろせるほど整理されたなにかが私の中にはありませんでした。ただ、年初より世界が一変したこともあり、去年まで一エンジニアだった私にとっては多くのはじめての体験と新たな発見があった1年でした。そんなこんなを徒然なるままに綴りたいと思います。

馬場 彩子(ババ アヤコ)
2001年入社のシナジーマーケティング最古のエンジニア(ほんとは2番目)。
オットと二人の息子と四人暮らし。急に息子が「小笠原、いきたいんだよね。行ったことないから」といいだしたので春休みに行くのを楽しみにしている。
すきなものはビールとカニ。きらいなものはチーズ。


シナジーマーケティングの2020年

シナジーマーケティングはクラウドCRM Synergy! を提供している大阪の会社です。この1年、当社のエンジニアはさまざまなことに取り組みました。

まず、Synergy! のモダナイズの大きなプロジェクトを二つ立ち上げました。 一つは、FROG (かえる)プロジェクトです。Synergy!システムを柔軟性と拡張性に優れたクラウドに移行することにより、将来のサービスの進化に備えます。二つめは NEWT (いもり)プロジェクト 。2005年のローンチ以来変えずに運用してきたフォームやデータベースの機能を、2020年代の環境に合わせて再生します。あわせて、UI統一と「使いやすさを徹底的に考えた画面デザイン」を実現します。この二つのプロジェクトは、海から陸へあがるように、Synergy! を進化させるプロジェクトとなってほしいという願いをこめて、両生類の生き物を命名しました。

各プロジェクトのロゴマーク

また、Synergy! では企業と顧客のコミュニケーションをリッチにするような機能( ABテストデータベースAPIシナリオJストリーム連携giftee for Business 連携 )も多くリリースしました。

新しいサービスの探索にもチャレンジしました。 当社はいままで事業部主導でのビジネス開発が多かったのですが、今期はエンジニア発信でデザイン思考に製品開発したり、当社の新規ビジネス開発フレームに沿って仮説の立案と検証を繰り返していたりと、サービスを産み出し育てていくプロセスでいろいろな試行をしています。

今期はエンジニアリング教育にも真正面から取り組みました。TADPOLE (おたまじゃくし)と名付けられたこのプロジェクトでは、総合職向けIT研修技術職向け新人研修 から22新卒向けインターンプログラム まで、「エンジニア」「育成」というキーワードで語れるあらゆるものの整備と仕組み化をしました。

当社では古くからデータサイエンスに取り組み、OPTMS などのサービスに還元されていますが、よりデジタルマーケティング をエンパワーメントするためにシナジーマーケティングでどのように取り組んだらいいのか、議論をスタートさせました。

もちろん、TECHSCORE BLOG のリニューアル も今年の成果です。コードに現れないエンジニアの七転八倒・試行錯誤が言語化され、私たちの財産になっていると感じます。

選んだものが作品になる

私は、自分のもてるスキルを駆使して開発したサービスが、世に出て顧客(社会)に利用されることがエンジニアリングの楽しみだと思っています。そんな風に技術で世界を楽しくするよう、コアプロダクトをワクワクする今のテクノロジーで再構築したり、顧客によい驚きを与えられるようなサービスを企画したり、次の技術を模索したり、人財を育成したり、いろいろ進めてきた1年でした。

もちろん実際にエンジニアリングで事業を動かすのは当社のエンジニアです。この中でCTOの役割は人と人とを繋ぎゴールを示すことです。そのため必然的に多くの人に意志を伝えたり、さまざまな人に意見を求められたりすることが多くありましたが、「これだ」「こうしよう」と選ぶことをこわいと感じることもありました。ビジョンだったり方針だったり、自分の選択をぱちっと自信をもって示すことができず、まわりくどくエクスキューズしてしまう。

「なにがこわいのか?」と胸に手をあてて考えてみると、それは失敗ではなかったりします(いや、それももちろんこわいですが)。まさに心理的安全性の4つの不安(無知、無能、邪魔、ネガティブだと思われたくない)を感じているんです。【最高】技術責任者なのに!むしろメンバー時代の方が自由に発言していたと思うくらいです。ただ当社のエンジニアは率直に「馬場さん、それは違うのでは」と言ってくれます。なので、私は、自身の評価は気にせず、指摘や批判された場合も、ただ対策をうつか、選択を変えればよいだけなんですよね。

さて、突然ですが、ブルーピリオド をご存知ですか?息子に「美大、受験したら?」と言って冷たい目で見られるくらい大好きな美大スポ根青春漫画です。この漫画に、大学の授業の課題に悩む主人公に対して美大の猫屋敷教授が「君は作品をつくったことがない」と語る場面があります。

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エンジニアもサービスを生み出すクリエイターです。問い、吟味して、検証して、繰り返して、選んだ先にしか我々の作品(サービス)がないのだとしたら、不安に反応し選択をさけて、ブレーキをギュッと踏み込んでいる場合じゃないなあ、と思います。頭ではわかっていてもクッと止まってしまうのが人ですけどね。選んで選んで選びまくるのだ。

そんな感じでCTOの最初の1年は終わろうとしていますが、自分への前向きな落胆に比して、当社のエンジニアに対しては期待しかないです。2021年もいろいろ仕掛けを考えているので、いっしょにわいわい楽しみましょう。2020年おつかれさま & ありがとうございました。

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